朝日記151101 ”ウズベキスタンの大学で日本語を学ぶ学生・教員へ「千円札一枚寄金」を!
おはようございます。
年来の友人である技術士・田中信義さんが主宰するアルホラムズの会”古代シルクロードの中間点、ウズベキスタンの大学で日本語を学ぶ学生・教員へ「千円札一枚寄金」を”の呼びかけを先に、ご紹介をいたしましたが当朝日記の読者からの関心はかなり篤いものがありました。そこで、今回あらためて、田中さんから、本寄金の手続きを含めて以下のご案内が寄せられましたのでご紹介もうしあげます。 荒井康全 2015/11/1
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「アルホラズムの会」からのよびかけ
古代シルクロードの中間点、ウズベキスタンの大学で日本語を学ぶ学生・教員へ「千円札一枚寄金」を
やる気一杯の学生達を教える日本語教科書、留学試験問題集が大変不足し現地では手に入りません。 国際協力基金などが制作した教材を現地へ送る活動です。
千円札一枚が教員、学生達を救います。
1,300年昔の奈良時代 唐僧 鑑真に随伴し、鑑真亡き後 唐招提寺の金堂伽藍を完成させた 安 如宝 はサマルカンドから渡来のソグド人。 偉大な祖先を持つ若い世代に支援の手を。
中央アジアの国々(Google から)
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「青の都」 サマルカンド ブルーの
ティリャカリ メドレセ(中世期の神学校)
「一冊の本、一本のペン、一人の教師 が世界を変えられる」
― マララ・ユフスザイ ― 2014年度 ノーベル平和賞
(アラホルムズの会代表 田中信義 2015/11/1)
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(解説 ) <以下の文の 項目2で寄金の手続きをご案内しています>
古代シルクロードの中間点、中央アジアの国で日本語を学ぶ学生達への支援
アルホラズムの会 代表 田中 信義
「学ぶ、知る」 その楽しさ 「教育こそ世界の未来」
―― マララ・ユフスザイ ――
1.寄金活動の背景
古代シルクロードの中間点、遺跡と砂漠の中央アジア5か国を9年前に昔の仲間と旅をした縁で、親日国のウズベキスタンで日本語を学ぶ学生達の信じ難い苦労を知ることになりました。
首都タシケントや 「青の都」 サマルカンドなど8大学で日本語を学ぶ学生は 2,000人、国際協力機構(JICA)から派遣の青年海外協力隊の教師や現地の教師が教えていますが、日本語教科書は書店になく、日本から送本のため首都の有力大学を除き肝心の教科書が大変不足、学生はコピーして使い、持ち去り紛失もあるようです。教師用の教材も同様。留学のための試験問題集も手に入らないそうです。
韓国が中央アジア各国に大学創設基金を提供し、中国は企業進出があり電気製品などが溢れているが Made in Japan は見かけません。
今、ウズベキスタンなどの若い世代は卒業後 就職の可能性がある中国や韓国へシフトを始めています。 それでも日本の文化や高度な社会に憧憬を抱く学生まだ多く、学生の応募は15倍の倍率。定員限度まで入学し、やる気一杯で勉強をしています。
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ティムールが好んだかすり模様の普段着
(シャフリサブスの遺跡で)
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ウズベキスタン略図 (Googleから)
ウズベキスタンの東、天山山脈支脈が延びる小国キルギス
はビザが不要で最も親日。高校第二外国語の多くは日本語。1,000人が日本語を学ぶ各大学は、有力大学を除き、やはり深刻な教科書不足。学生は教科書をコピーしているが、国の経済力からコピー代金の個人負担は大きい様子。日本語の参考書類も入手不能です。
キルギスの仏教遺跡を訪ねたとき3人の女子学生に会いました。3年間程度の学習で日本語を話し、漢字の読解ができることに驚きました。日本語の本が欲しい、初めて日本人と話したと喜んでいました。
これらの国は世界でも指折りの日本語教育国。イスラム圏ですが宗派間の抗争や、反日運動はないため日本でニュースになりません。現地の教師はこれらの実情を知って欲しいと言っています。
2.今のうちに何とかしなければ
そこで、誰でもできる国際貢献として、「千円札一枚寄金」活動を2014年に始めました。
寄金は、ゆうちょ銀行の口座アルホラズムの会へ郵便局のATMから振込ができます。
(お手数ですが 下記の 田中信義 メール silkrd.tnk@gmail.com へお問い合わせ下さい。)
現金を扱うので「アルホラズムの会」は任意団体登録をし、運営規約を定め代表を田中、他に副代表、会計を定めています。そして年次収支報告書を作成します。
多くの知人にこの計画を伝えたところ、素晴らしい、喜んで協力、ブログに転載してよいか、何となくうさん臭い国と思っていたが親日国とは知らなかった、JICA などでできないことをサポートするのがNGO のあり方、日本人は蛸壷から出なければ、など予想外のコメントがメールで届きました。
2015年10月末までに200人(再寄金者を含む)から千円札293枚(¥293,000)が寄せられました。
これを基に、国立サマルカンド外国語大学の青年海外協力隊日本人教員の希望で、国際交流基金が制作した教師用の各種ガイド ブック、標準教科書を送ったところ、どれもよい本、すぐ役に立つ、大助かり、感謝・感激のメールが来ました。
2015年6月には、首都タシケントの有力大学に勝るとも劣らない充実感ができたとメールが届きました。 遠い中央アジアの国で一人懸命に努力している同胞に頭が下がる想いです。 「カネしか出さない国」といわれた日本が「カネも出さない国」の今、ささやかな寄金がこれほど喜ばれるとは。
東南アジア各国で日本人ボランティアの児童教育活動は多いが中央アジア、しかも大学生支援は少ないのがこの活動の特長です。
現地は郵便事情が悪く教材でも開封や没収があるので、今は駐日ウズベキスタン共和国大使館に依頼し外交便で送っています。
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オアシス都市のヒヴァを囲むキジル・クム砂漠
3.「アルホラズムの会」の所以
中央アジアのホレズム砂漠地帯は、紀元前6世紀にはアケメネス朝ペルシャの支配下にあり、古代シルクロード東西交易の要衝として栄えました。「ホレズム」は「太陽の国」の意味で、華麗なイスラム建築群で世界遺産登録のサマルカンドは年間300日の晴天が続きます。
ウズベキスタンの古代都市ヒヴァに8世紀に生まれたムハンマド・アル・ホレズミは数学者で、紀元前3世紀に古代ギリシアでユークリッドが創始した幾何学を8世紀に中央アジアで大成させた数学者です。最大公約数を求めるユークリッドの互除法は高校数学で教わった記憶があります。 世界遺産に登録されたヒヴァの城壁の前にアル・ホレズミの座像があります。
数学者 アル・ホレズミの座像 (ヒヴァ)
話がずれましたが、代数学 algebra、
コンピューター用語 「アルゴリズム」はアル・ホレズミに由来します。この 「ホレズム」と「アル・ホレズミ」に因んで造語ですが「アルホラズムの会」(Association Alkhorazm)としました。
4.青年海外協力隊応募者と途上国無償支援の急激な減少
新聞によると先進国の途上国への支援は減少しています。ユネスコが途上各国の基礎教育を支援した金額は、2010年の62億ドルが翌2011年に58億ドルに減少、日本は3割を減額しています。
JICA青年海外協力隊への応募も著しい減少で、1994年の11,832人が2012年は 2,674人で、わずか 22.6%になりました。これは途上各国からの派遣要請を大きく下回り、2014年は充足率が実に38%のありさまです。JICAから派遣の教員が任期終了後の後任が欠員のままなど、外務省のレポートは途上国での日本の存在価値低下を懸念しています。
事実、サマルカンド外大の青年海外協力隊員は2015年末に任期終了後は要員不足のため、JICAは後任を派遣しないことになりました。やむなく手を尽くしてボランティアを探し、短期赴任の見込みができました。
JICAのウズベキスタンへの人材育成奨学計画は、2007年度の3.07億円 が漸減し、2013年度 は 33%の減少です。
一方、中央アジアは韓国が多額の経済支援を進めて直近の5年は首位を続け、ドイツが2位、日本は4位に低下しています。 国連事務局は日本のこれらの傾向を主要国では極端に少ないと指摘しています。
原因は、若者の内向き志向とシリアなどのイスラム過激派による争乱のためでしょう。国際社会で高い評価を受けて来た日本の海外貢献の歴史に黄信号が点滅していると指摘する声もあります。 やっと2016年度に途上国人材育成計画増額案が提唱され、日本の首相が中央アジア各国へ訪問してODA増額が決まりましたが。
当面はウズベキスタンの大学教員・学生を対象にしますが、知られざる最大の親日国キルギスへも展開の夢を。
嬉しいことに千円札寄金で送った公式問題集も用いて勉強した女性教員が、6月に日本の文科省留学生試験の難関をパスしました。
内向き志向の利点でしょうか、エジプトや中東には日本語を学んで、争乱がない日本で仕事の望みを持つ若い世代がいるとか。
中央アジア5か国は、1991年に旧ソ連から独立した若い国ですが、紀元前4世紀にアレクサンドロス大王がアケメネス朝ペルシャの跡を東漸してギリシアからヘレニズムを伝え、7世紀に玄奘三蔵が仏典を求め長安からウズベキスタンのタシケント、サマルカンドを経てインドへたどりました。
1300年前の8世紀、聖武天皇の時代、奈良東大寺で授戒のため来日した唐僧 鑑真に随伴し、鑑真亡き後 唐招提寺金堂を完成させた高僧 安 如宝 はペルシャ系民族のソグド人。ウズベキスタンのブハラかサマルカンドから日本へ渡来といわれます。 7,000㎞ の行程には砂漠と、世界の屋根パミル高原、4,000mを越える「飛雪千里」の天山山脈があり、どのようにたどったのでしょうか。4世紀に中国の法顕がインドへたどったウズベキスタン フェルガナ盆地の「フェルガナ言語センター」や、首都タシケントの大学からも日本語教材支援の希望が届きました。そして、ありがたいことに、在家得度した昔の友人の努力で奈良薬師寺の山田法胤管長にお目にかかることができ、東京別院の例会で多くの参詣者から寄金を戴きました。 薬師寺は南都六宗の一つで、門信徒、墓地を持たず葬儀をしない寺院です。 薬師寺の本尊 薬師如来の台座にはシルクロードを伝わった古代ギリシアの優雅な葡萄唐草文様や、ペルシャから伝来の蓮華文様が刻まれています。
「千円札」ではまとまった経済支援は困難ですが、偉大な祖先を持つサマルカンドの若い世代に 草の根型の知的人道支援を。
「一冊の本、一本のペン、一人の教師が
世界を変えられる」
―― マララ・ユフスザイ ――
17歳の少女が世界を感動させた
田中信義 (公社)日本技術士会名誉会員
情報工学/応用理学部門)
この活動は、東海大学元副学長内田裕久教授
(神奈川サイエンスパーク代表取締役)を顧問に行っています。
以上
(上記掲載内容は原著者のものを極力尊重するも、レイアウト上の差異については本ブログ編集者の責任のもとにあることを申し添えます)